2021年3月、円頓寺商店街にオープンした天然酵母のベーカリー。ひとつひとつの素材にこだわった自然派のパン屋さんです。
【SHOP INTERVIEW】
厳選オーガニック素材で手作り
パンからつながるご縁を大切に。
『天然酵母パン 芒種』店主 杉江秀敏さん
焼きたてベーカリーのある街は、幸せだ。人気の食パンが焼ける時間に立ち寄ると、ご近所さんも先に並んでいたり。2016年、五条橋のたもとにあったブラジル音楽専門店『サンバタウン』の店子としてオープン。犬山市で人気だったパン屋さんがわが街に!と、みな嬉しくて通りすがりに窓から覗き込んだものだ。
「どなたにも安心して食べてもらいたいから」と、厳選した国産小麦とオーガニック素材、自家製酵母を使用し、クリームパン以外は卵・乳製品不使用。ご夫婦でひとつひとつ丁寧に焼かれるパンは、午後の早いうちに完売してしまうことも。
すっかり街の顔となった2021年春、アーケード東端の角に移転しリニューアルオープン。円頓寺商店街の一員となった。旧店舗 “ベビー用品アオヤマ”の看板はそのままに、入口に立てられたグレーの三角看板が目印だ。
「人と人とのたまたまのご縁があって出店に繋がったのですが、かつてこの界隈近くのコーヒーハウスで働いていたこともあり、昔からなじみのある街でした。お客様により近く接することができるので、お店は対面式を大切にしています。円頓寺商店街はお店や人のつながりもあって、皆さん気さくで優しい街ですね」とにこやかに語る杉江さん。
毎日ほぼ20種類のパンが、焼き上がるごとに店頭のケースに並べられる。いちばん人気は、甘酸っぱいほんのりピンクのクランベリー。ハード系ばかりだけでなく、食パンやあんパン、お惣菜パンなども並ぶ。平飼い卵を使用したクリームパンのフィリングやあんも全て手作りという。
「店名の“芒種”は、稲・麦など芒 (のぎ) のある穀物の種を蒔く時期のこと。国産の小麦、自家製酵母でじっくり時間をかけて焼き上げる、シンプルだけど素材のおいしさ、小麦の香りを生かしたパンが中心です。料理やチーズ、ワインと一緒に楽しんでいただける食事パンですね。また、ご年配のお客様も多いので、ニーズをお聞きしてソフトなパンも加えています。どうやって食べるの?と尋ねられますが、食パンと同じようにバターやジャムを付けたり、お好きに召し上がっていただけたらとお伝えしています」。
平日は地元のお客様、土日は遠方からもパン好きさんたちが多く訪れる。雨の日でもアーケードがあるので、ぶらりと立ち寄ってくれるお客さんや、丸小商店の揚げたてミンチカツをサンドしてランチにしたり、テイクアウトのコーヒーやお茶と楽しむお客さんも。
近年は自然食品店『めるは〜ば』のオープンや、毎週新鮮な野菜や果物が届く『円頓寺商店街サタデーマーケット』の開催など、長年求められていた“買いまわり”ができる環境が生まれつつあり、おいしいパン屋さんがあることで商店街グルメがいちだんと豊かになったことは間違いない。
「コロナ禍にありながら周辺には飲食店もどんどん増えていますし、活気を感じますね。商店街をあげてのお祭りやイベントなど、組合の一員として一緒に盛り上げていける機会がまた来ることを楽しみにしています」。